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2023/6/25【 第12回 関東大学春季交流大会 】vs早稲田大学 マッチレポート

2023/6/25【 第12回 関東大学春季交流大会 】vs早稲田大学 マッチレポート

2023/07/01

6月25日(日)・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場
○帝京大学60-21早稲田大学●

《BRIEF REVIEW》

春季交流大会最終節は、昨年度の大学選手権決勝の相手・早稲田大学。いい形で勝利して、春シーズンを締めくくりたい。
試合は開始早々から激しいぶつかり合いとなる。帝京のミスもあり、攻められるシーンもあるが、CTB戒田、CTB久木野、WTB青栁らの好タックルで防ぐ。
試合が動いたのは8分。相手ボールのスクラムを押し込み、ターンオーバーして、連続攻撃。ラックからSH李-HO江良と渡り、江良がディフェンスをかわしてトライ(5-0)。さらに13分、スクラムを押し込んでから展開。ラックからSH李-SO井上-PR上杉と渡り、上杉が抜け出す。最後はSH李にパスし、李がトライ(12-0)。
19分にはラインアウトから連続攻撃。途中、キックしたボールが相手に当たって跳ね返り、再度マイボールとなるラッキーな場面もあるが、これをしっかりキープしてつなぐ。ラックからSH李-FL奥井-LO本橋(拓)と渡り、本橋がディフェンスをかわして抜け出し、トライ(19-0)。
3連続トライでさらに勢いづくかに見えたが、ここから相手に攻められる厳しい時間帯となる。だが、帝京は相手に展開されても全員で前に出てプレッシャーをかけ続け、WTB青栁、FB小村らのナイスタックルで相手を止める。ラインブレイクされてもあわてずに、しっかりと戻って守り、ラックで乗り越え、ターンオーバー。モールディフェンスでも、FL青木がうまく相手に絡んでターンオーバー。さらにNo.8延原の好タックルからラックでターンオーバーし、SH李が前方へキックし、50:22でピンチを脱する。
攻め込まれる時間帯を凌いだ36分、相手の乱れたボールをCTB五島がうまくキャッチして前進。ラックからSH李-FB小村と渡り、小村が抜け出し、走り切ってトライ(26-0)。前半終了間際の41分には、ハイパントのボールが乱れるも帝京がキープしてつなぐ。ラックからSH李-HO江良-SO井上と渡り、井上が相手ディフェンスをステップでかわし、抜け出してトライ。前半を33-0で折り返した。
後半はキックオフ早々、ピンチとなるが、CTB戒田の好タックルで相手のパスを乱れさせ、WTB高本(とむ)が前方へキックし、地域を戻す。相手ボールになるが、さらにCTB五島がタックル。再度、ラインブレイクされてピンチとなるが、SO井上が戻ってタックルし、食い止める。
だが10分。乱れたパスのこぼれ球を拾われ、そのまま走られてトライを許してしまう(33-7)。嫌な流れになりそうな場面だったが、帝京はまったくあわてない。12分、FL青木のタックルからのラックでターンオーバーしてつなぐ。SH李が前進。ラックからFL青木-LO尹-HO江良と渡り、江良が抜け出してトライ(38-7)。
ここからさらに帝京の攻めが続く。16分、相手のキックをCTB戒田がうまく拾ってWTB高本(とむ)にパス。高本が前進し、SO井上-FL青木とパスをつなぐ。青木はタッチライン際でタックルを受けるが、しっかりと粘って、SO井上へとパスを返す。さらに井上からWTB高本へとパスが渡り、高本が抜け出し、走り切ってトライ(43-7)。
18分には、ラックでターンオーバー。FL奥井がボールを拾って前進。ラックからSH李-FL青木と渡り、青木が前進。さらにCTB五島-SO井上-WTB青栁と渡り、青栁が抜け出し、走り切ってトライ(48-7)。
27分に自陣ゴール前でのラインアウトでペナルティを取られ、クイック・リスタートからトライを奪われるが(48-14)、直後の30分、スクラムから展開し、SH上村-FL青木と渡り、青木が抜け出してトライ(55-14)。34分には、スクラムからNo.8延原が持ち出して前進。FL奥井にパスし、奥井が前方へキック。これをSH上村がうまく拾って、そのまま抜け出してトライ(60-14)。
終了間際の43分、キックボールが乱れたところをうまく拾われ、走られてトライを許すが、ここでノーサイド。60-21で帝京が勝利した。
この結果、第12回関東大学春季交流大会で帝京は勝ち点22となり、明治大学と並んだが、総得失点差により帝京が1位。昨年度に引き続き優勝を果たした。

―― 春季大会優勝 ――

第12回関東大学春季交流大会の全日程が終了しました。帝京は4勝1分(1分は台風による試合不成立)で勝ち点22。明治大学と勝ち点で並びましたが、関東協会が定める「順位決定方法について」の②の(4)「(これよりも上位の項目で決着がつかない場合は)全試合の総得失点差の多いチームを上位とする。」により、帝京が1位となり、連覇を果たしました。

第12回と銘打たれているように、この大会が始まったのは2012(平成24)年のことでした。2020年は新型コロナパンデミックによる非常事態宣言発令によって中止となりましたが、この年の大会も「第9回」としてカウントされています。

この大会が始まった目的としては、大学生の試合数が不足しているという懸念を払拭するため、試合数を増やして、この世代の強化・育成に繋げるというものでした。「交流大会」と名付けられているのは、かつて存在した「交流戦」、つまり対抗戦とリーグ戦が戦うという意味合いが込められているのでしょう。

実際、第1回大会は、同じグループどうしの試合はありませんでした。対抗戦とリーグ戦が戦うカードしかなかったのです(両リーグ4校ずつで1グループとし、各校4試合ずつ行った)。これではあまり意味がないのではないかという意見が出たようで、翌年の第2回大会からは、現在のように両グループ3校ずつで1グループとし、各校5試合ずつ行う(対抗戦どうし、リーグ戦どうしも戦う)ようになりました。

12回を重ねた春季交流大会ですが、帝京はこの12回のうち8回、最上位のAグループで優勝しています。グループ分けは、前年度の対抗戦、リーグ戦の順位で決まるため、対抗戦で4位になると次年度はBグループで戦うことになります。つまり、大事な春シーズンに上位校と試合をすることができなくなってしまうわけです(もちろん、両校が合意すれば練習試合はできます)。

コロナ禍が始まった2020年度の対抗戦で帝京は4位だったため、翌2021年度の春季交流大会はBグループで戦うことになりました(結果はBグループ優勝)。そんなハンデを背負いながらも、帝京はこの年、大学日本一を勝ち取っています。この年のチームがいかに頑張ったかがわかります。

各校とも春シーズンは結果よりも次への成長にフォーカスして戦っていますが、それでも春季交流大会優勝という勲章は十分に誇っていいものだと思います。

さあ、ここから夏合宿に向かうことになりますが、そこまでの約1ヵ月半の過ごし方も重要になってきます。夏にその成長度合いを見るのが今から楽しみです。

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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