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2023/9/17【 関東大学対抗戦A 】vs青山学院大学 マッチレポート

2023/9/17【 関東大学対抗戦A 】vs青山学院大学 マッチレポート

2023/09/19

関東大学対抗戦A 対青山学院大学戦

9月17日(日)・アースケア敷島サッカー・ラグビー場
○帝京大学80-0青山学院大学●


《BRIEF REVIEW》

対抗戦2戦目の相手は青山学院大学。昨シーズンは前半を5-0で折り返すという苦戦を強いられた相手。帝京としては入りの時間帯から集中して臨みたいところだ。
その入りの時間帯、帝京は相手の攻めにも落ち着いて対処する。ラックでWTB青栁(潤)がジャッカルし、相手のペナルティを誘う。4分、そのラインアウトから展開し、ラックからSH李-LO尹-SO井上とつなぎ、井上が抜け出して先制トライを奪う(7-0)。
このあと、キックチャージされるなど、攻められる場面もあるが、帝京は落ち着いたディフェンスを続け、PR津村のジャッカルなどで守る。ただ、前進したプレーヤーが孤立する場面などもあり、攻めきれない。
得点が動いたのは17分。ラインアウトから展開し、CTB戒田が前進。さらにつないで、WTB青栁(潤)が前方へキック。これをFB小村が拾ってトライ(14-0)。直後、センタースクラムを押し、ペナルティをもらって、敵陣深くまで攻め込む。23分、ラインアウトからモールを押し込み、HO江良がトライ(21-0)。
27分には、ラインアウトからつなぐ。途中、ボールが乱れる場面もあるが、うまくつなぎ、FB小村が大きく前進。最後はサポートに走っていたPR上杉にパスし、上杉がトライ(28-0)。
このあと、ミスが出るなどやや停滞した時間帯もあるが、相手に攻め込まれる場面には至らない。
次に得点が動いたのは36分。相手ボールのラインアウトを奪ってつなぐ。WTB高本(とむ)が相手ディフェンスに絡まれながらも前進。さらにFL奥井が前進し、最後はCTB上田にパスしてトライ(33-0)。
41分には、CTB戒田の好タックルで乱れたボールをWTB高本(とむ)がうまく拾ってつなぐ。FB小村に渡り、小村が抜け出し、走り切ってトライ。前半を40-0で折り返した。
後半も入りの時間帯から帝京がプレッシャーをかける。何度か組み直しになったスクラムを押し込み、ペナルティのアドバンテージをもらいながら展開。WTB高本(とむ)が相手ディフェンスをかわしながら抜け出してトライ(47-0)。
11分には、ラインアウトからつなぐ。ラックからHO江良が持ち出してトライ(54-0)。18分にはラインアウトからモールを形成。押し込んで、FL青木が持ち出してトライ(61-0)。
控えのメンバーが多く入った25分。ここもラインアウトからモールを押し込む。押し切れずラックになるが、FL青木が持ち出してトライ(66-0)。
このあと、ミスが出るなど、やや停滞した時間帯となるが、35分、スクラムを押し込んでペナルティをもらい、チャンスを作る。ラインアウトからモールを押し込む。押し切れないが、つないで、最後はSO小村が相手ディフェンスをはじいてトライ(73-0)。
このあと、ミスから攻め込まれる場面もあるが、相手ボールのラインアウトでLO尹らがボールに絡み、モール・アンプレイアブルでマイボール・スクラムにする。43分、この自陣22m内でのスクラムを押し込み、ペナルティをもらいながら展開。うまくつないで、CTB大町が前進。さらにつないで、CTB上田、WTB青栁(潤)が前進。青栁からSH上浦-CTB上田と渡り、上田がトライ。FB山口のゴールも決まり、80-0でノーサイド。帝京が対抗戦開幕2連勝を飾った。

《COLUMN》

―― 1年生たちが教えてくれたこと ――

この日、帝京のメンバーには1年生が3人選ばれていました(先発2人、リザーブ1人)。そして、3人とも非常にいい動きを見せてくれました。

ハーフタイムには相馬監督がCTB上田倭士の献身的な働きぶりを褒めていましたし、記者会見では江良颯主将が「上田のファイティング・スピリット溢れるプレーが、僕たちにラグビーの本質を思い出させてくれた。」と述べていました。

途中出場のPR森山飛翔も、スクラムはもちろん、フィールドプレーでも激しさを見せてくれていました。出場してすぐのスクラムを力強く押し、後半25分のFL青木のトライを文字通り、後ろからの「後押し」でサポートしました。ボールキャリアを後ろから押して、相手のディフェンスに圧力をかけるというのは当たり前のプレーですが、森山はそれを自身の仕事として当たり前に遂行してくれました。

WTB青栁潤之介はこれまで毎試合トライを取っていましたが、この日はトライがありませんでした。しかし、これは彼が「トライを取れなかった」のではありません。個人技でトライを取りに行かず、チームでトライを取りに行った結果でした。力ずくで取りに行けば取れた場面も何度もありましたが、彼はパスなどでつなぐ選択をしたのです。

また、後半、味方が右サイドにタッチキックを蹴った場面がありました。明らかにタッチに出る軌道だったので、多くの選手がボールの行方を目で追っていました。その時、ひときわ大きな声が場内に響き渡りました。

「チェイス!」

相馬監督の声でした。この声に反応して、全速力で駆け上がったのが青栁でした。タッチに出る軌道とはいえ、相手がクイック・スローインをしてくるかもしれませんし、風などの影響があれば軌道が変わってタッチに出ないという可能性もゼロではありません。

このあと、再度、同様のシチュエーションがありましたが、この時は何も掛け声がなくても、青栁がしっかり走ってチェイスしていました。味方がキックを蹴ったら、キッカーの後ろの選手がボールを追いかける。当たり前のプレーを当たり前にやる大切さをチームが再認識したという意味では、上田、森山のプレーと同じだったのではないでしょうか。

まだまだ特定の色に染まっていない1年生だからこそ、基本のプレー、本質的なプレーに忠実だったのかもしれません。自身の強みや特徴が色濃く見え始めている上級生たちにとって、そしてチーム全体にとって、この日、1年生が示してくれたものは、今後への大きな財産となるかもしれません。

(文/木村俊太・写真/和田八束)

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