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2023/10/1【 関東大学対抗戦A 】vs立教大学 マッチレポート

2023/10/1【 関東大学対抗戦A 】vs立教大学 マッチレポート

2023/10/02

関東大学対抗戦A 対立教大学戦

10月1日(日)・熊谷ラグビー場
○帝京大学83-0立教大学●

《BRIEF REVIEW》

対抗戦第3戦の相手は立教大学。前節、同じ会場での第1試合(帝京は第2試合)で好ゲームを繰り広げた、けっして侮れない相手だ。試合開始直前から大雨が降り出し、その後も雷鳴が響いたり、線状降水帯によって断続的に豪雨となったりという悪コンディションの中での戦いとなった。

帝京は開始早々からいい形でスコアを重ねる。相手のノータッチキックをWTB青栁(潤)がキャッチし、FB小村につないでカウンターアタック。小村が大きく前進し、さらにつなぐ。ラックからSH上村-CTB上田と渡り、上田が抜け出して先制のノーホイッスルトライを奪う(5-0)。5分には、敵陣ゴール前の5mスクラムを押し切り、No.8延原がトライ(10-0)。
その後、大雨の影響もあり、ややミスが出るが、しっかりと立て直す。17分にも、5mスクラムを押し切って、No.8延原がトライ(15-0)。続く22分には、ゴール前でのラインアウトからモールを形成。これを押し切って、HO江良がトライ(22-0)。
26分には、相手ボールのラインアウトを奪ってつなぐ。ラックからSH上村-SO井上-CTB戒田-FL青木と渡り、青木がトライ(29-0)。32分には相手ボールスクラムを押し、ボールアウトを乱れさせてノックオンを誘う。このボールを奪って、FL青木が前進。ラックからSH上村-FLアスイと渡り、アスイがステップを切りながら前進してトライ(36-0)。
その後、ペナルティで攻め込まれる場面もあるが、しっかりと守り切り、36-0で前半を折り返した。

後半も開始から帝京ペース。3分、ラインアウトからモールを押し込み、HOえらはがトライ(43-0)。11分、ラインアウトからつないで、ラックからSH上村-SO井上-FB小村-WTB青栁(潤)と渡り、青栁が走り切ってトライ(50-0)。直後の13分、キックオフからつなぐ。SO井上のキックパスをWTB青栁(潤)がキャッチし、FL青木-CTB上田-SH上村とつなぐ。上村のキックは相手に渡るが、SO井上がジャッカルして奪い、FLアスイにパス。さらにCTB上田につなぎ、上田がトライ(57-0)。
その後に入った控え組も奮闘。17分、SO本橋(尭)の好タックルで相手のノックオンを誘い、そのボールをつなぐ。FB小村-WTB高本(とむ)-FB小村とつないで前進。小村が走り切ってトライ(64-0)。
その後、キックパスが相手に渡り、ピンチになりかける場面があるが、CTB日隈の好タックルでふせぐ。
26分、ラインアウトからモールを押し込み、対抗戦初出場のHO知念がトライ(69-0)。直後の29分には、スクラムでもらったフリーキックで、こちらも対抗戦初出場のNo.8ダウナカマカマがクイック・リスタート。相手の隙を突いてインゴールに飛び込み、トライ(76-0)。
その後、FL青木、WTB高本(とむ)が抜け出しチャンスを作るが、惜しくもタッチ。
次に得点したのは終了間際の42分。ゴール前でのスクラムを押し、ややボールが乱れかけるが、No.8ダウナカマカマがうまく拾って、そのままトライ(83-0)。
最後にハイパントを相手にキャッチされ、ピンチになりかけるが、SH李のタックルで守り、ノーサイド。帝京が83-0で対抗戦3連勝とした。

《COLUMN》

-- 帰ってきたアフターマッチ・ファンクション --

この日の試合後、熊谷ラグビー場の一室でアフターマッチ・ファンクションが行われました。「当たり前ではないか」と思われた方もおられるかもしれませんが、実はここ数年、コロナ禍によりアフターマッチ・ファンクションは行われていませんでした。

念のため補足しておくと、アフターマッチ・ファンクションとは、ラグビーの試合後に行われる対戦相手との交流会のこと。つい数分前まで、体と体を全力でぶつけ合う格闘を繰り広げていた相手と飲食をともにし、お互いの健闘を称え合うイベントです。

ある人は「ラグビーとはもともとアフターマッチ・ファンクションが含まれているもの」「アフターマッチ・ファンクションのないラグビーなんて、野球のユニフォームを着てスクラムを組むようなもの」とまで言っていました。
「アフターマッチ・ファンクションのないラグビーなど本当のラグビーではない」ということ。まさに「ノーサイド」の精神を体現する、ラグビーのすばらしい文化の一つなのです。

このすばらしい文化を他の競技でも見習おうという動きもあるようで、イタリアのサッカーリーグ、セリエAでも2007年に導入されたと聞きます。

ただ、サッカーではいろいろと難しい部分もあるようで、以前、埼玉スタジアム2002の中を見学させてもらった時(事前に申し込めば、有料ながら誰でも見学できます)、試合後に選手たちが飲食しながら歓談するためのスペースはあるものの、出入りするための導線も含め、敵チームとは顔を合わせることがないように(ホテルの宴会場などにあるような)可動式の仕切り壁がありました。
一つ間違えると、選手同士の乱闘騒ぎにもなりかねないのだそうです。

さて、このアフターマッチ・ファンクション。会場によっては物理的に難しい場合もあるとのことでしたが、秩父宮ラグビー場や熊谷ラグビー場のような広いスペースが確保できる会場では、今後も正式に行われることになりそうです。

今の4年生は、入学時にすでにコロナ禍が始まっていた世代なので、この日は全員、アフターマッチ・ファンクションへの参加が初めてでした。
相手チームとの交流が目的の会合ですから、自チームでかたまっては意味がありません。
人によっては、相手チームにいる同じ高校出身者と交流しているケースもありましたが、初めてということもあり、みな、かなり戸惑いながらの、初々しい交流に見えました。ただ、それも回を重ねるごとに慣れていき、やがて何の戸惑いもなく、お互いに交流できるようになることでしょう。

相馬監督はこのあと部員たちに「部歌(校歌)は恥ずかしそうに歌わず、もっと堂々と歌ってほしい」と指導していましたが、これもきっと回を重ねることで、克服できていくのでしょう。

ノーサイドの精神を具現化するアフターマッチ・ファンクション。何よりこうした日常がまた一つ戻ってきたことが、とてもうれしく思いました。

(文/木村俊太・写真/和田八束)

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