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2025/11/2【 関東大学対抗戦A 】vs早稲田大学 マッチレポート

2025/11/2【 関東大学対抗戦A 】vs早稲田大学 マッチレポート

2025/11/04

関東大学対抗戦A 対早稲田大学戦

11月2日(日)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学25-20早稲田大学●

《BRIEF REVIEW》

対抗戦第5戦の相手は、昨年度の大学選手権決勝を戦った早稲田大学。現在、対抗戦全勝の相手に対し、対抗戦1敗の帝京はどんな戦いぶりを見せてくれるか。まずは接点で相手にプレッシャーをかけていきたいところだ。

開始早々、帝京はスクラムでのペナルティからピンチを迎える。6分ラインアウトからつながれ、トライを奪われてしまう(0-7)。

ここからは守りの時間帯になる。しかし、帝京は守りからチャンスを作る。10分、PR上野、FL鈴木(彪)の好タックルで相手がノックフォワード。HO梶川が拾ってLO坪根にパス。坪根からSO本橋-WTB吉田(有佑)と渡り、吉田が大きく前進。さらにSO本橋へとパスを戻し、本橋が走り切ってトライ(7-7)。

その後、CTB佐藤(楓)の大きな突破などでチャンスを作るが、ボールがうまくつながらず、ここは得点までは至らない。逆に攻められるも、PR上野のスティールでチャンスを作る。ここも相手の厳しいディフェンスで帝京にミスが出て取り切れない。

続くラインアウトで帝京が力強く攻める。22分、No.8ダウナカマカマが大きく前進。ラックから、SH武智-SO本橋-FLフィシプナと渡り、フィシプナが前進。ボールが後ろにこぼれ、FB吉田(琉)が拾ってグラウンディング。レフリーがタッチジャッジと確認し、最初のフィシプナのグラウンディングが認められてトライ(14-7)。

27分、印グールドロップアウトの返しからドロップゴールを決められる(14-10)。さらに、31分にはPGを決められ、14-13と1点差に詰め寄られる。

しかし、直後のキックオフで帝京が攻める。キックオフのボールを相手がこぼすと、WTB吉田(有佑)がうまく拾って、CTB佐藤(楓)にパス。佐藤が大きく前進。ラックから、SH武智-PR上野と渡り、上野が抜け出してトライ(19-13)。

帝京の攻める時間帯はこの後も続くが、相手のディフェンスも厳しく、なかなか得点できない。44分、CTB大町がPGを決め、22-13で前半を折り返した。

後半はお互いの意地と意地とがぶつかり合う、激しい展開。得点は動かないものの、見ている人たちもうなるような厳しさをお互いに出し合い、一進一退の攻防が続く。

ピンチになりかけるシーンもあるが、帝京も必死のディフェンスで防ぐ。さらに攻められるも、FLフィシプナが接点で相手ボールを奪い取って、チャンスに変える。

その後、スクラムでのペナルティでゴール前まで攻め込まれるが、モールでPR森山がボールを奪って防ぐ。ただ、帝京もなかなかチャンスを活かし切れず、エリアを戻される。膠着しているわけではなく、ボールがよく動きつつもお互いの激しさがぶつかり合う、非常に見応えのあるゲーム展開が続く。

残り10分、ゴール前まで攻め込まれる帝京。相手のミスで乱れたボールをうまく拾って切り返す。一度、キックチャージされるが、それも拾って前進。さらに、パスが味方の頭に当たって、PR森山に入り、森山が大きく前進。33分、相手の反則を誘い、CTB大町がPGを決める(25-20)。

ここから攻められる時間帯もあるが、WTB青栁、LO坪根らの好タックルなどでしっかりと防ぐ。しかし、39分、つながれてトライを奪われる(25-20)。

キックオフからのディフェンスもWTB青栁、No.8ダウナカマカマらの好タックルで守る。相手のプレッシャーも激しいが、なんとか守り切り、SH三田村がタッチに蹴り出しノーサイド。25-20で帝京が勝利した。

《COLUMN》
―― 気持ちで変わる ――

この日の帝京は、先週とはまるで違うチームであるかのように、接点で激しく前に出るプレーが数多く見られました。ボールへの働きかけも素早く、どうやったら一週間(実質は火曜から土曜までの5日間)でここまで変われるのだろうかと思えるほどでした。

5日間でスキルが急激に向上したり、筋力が桁違いに強靭になったりするとは思えません。では、いったい何が変わったのでしょうか。

WTBの生田副将は「最も変わったのは気持ちの部分」「自分たちはチャレンジャーなのだという意識で挑めたことが大きかった」と語ってくれました。

もう一つは、これも気持ちに関わることですが「迷わないこと」。これについてCTB大町主将は「自分たちのやるべきことを変えずに、一貫性を持った準備をした」、CTB佐藤(楓)選手は「プレー選択で迷わずに自分がフォーカスした『これ』というプレーをやっていけば、今日のように自分の強みが多く出せることがわかり、自信になりました」と語ってくれました。

「気持ちだけでそれほどまでにプレーが変わるのか」と思う方もおられるかもしれません。しかし、これは学生スポーツではよくあること。帝京ラグビーでも、過去何度もありました。直近の例で言えば、昨年度の対抗戦で早稲田大学に敗れたあとの明治大学との試合。気持ちを変化させたことで、たった2週間で別のチームに生まれ変わっていました。

人間なので、どうしても気持ちが揺れ動きます。若い大学生ならなおさらです。しかし「気持ち次第でパフォーマンスが変わり、結果も変わる」ということを体験したあとは、「だったら、いいパフォーマンス、いい結果が出る気持ちを作ろう」という考え方になります。その結果、気持ちを作りやすくなるのです。

目指す目標はまだまだ先です。その間、学生たちの気持ちは触れ動き、プレーのパフォーマンスもそれにつれて揺れ動くことでしょう。しかし、この日の試合での経験は、今後、気持ちの揺れ動きの修正におおいに役立つことでしょう。

そして、目標に近づくための、一つの拠り所となってくれるはずです。

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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